サイコメトラーEIJIというマンガがかつてあって、非常に好きだったのだが、その中で特に印象に残っているのが「その迷路に出口はあるのかい?」というセリフだ。ある事件を調べている刑事が、非常に頭の切れる犯罪者にもらったアドバイスだ。「刑事の思い込みが、容疑者の集合から犯人を除外してしまっている」というような意味だったように記憶している。
仕事上、いろいろな質問を受けるが、最も困る質問が「出口のない迷路からの質問」だ。
質問者のやったこと: Cという事象が発生した。調べてみたところ、AによってBが発生しているようようだ。Cの原因がBということではないだろうかと推測。 質問者の質問: BだとCになりますか? ぼく:(こいつは一体何を言っているんだ?ハゲろ!) ぼく:なんでそんな意味不明の質問が発生したの?まずその質問が発生した経緯を教えて。 ぼく:(なんでこんな質問の経緯を一からヒヤリングせにゃならんのだ。)
人間には先入観がある。その先入観はその人が持っている武器によって補強されていく。「ハンマーを持っている人には全てが釘に見える」なんてことわざがあるくらいだ。質問者はハンマーを解決策に選んだけれど、そもそもハンマーが妥当な解決策だというのは質問者の思い込みに過ぎないことが多い。
だから、質問はこうでなければならない。
質問者のあるべき質問: Cという事象が発生しました。調べてみたところ、AによってBが発生しているようにみえます。Cの原因がBということだと推測したのですが、どう思われますか? ぼく:なるほど、多分AもBも関係ないね。Dあたりを調べてみれば?
ただしい質問の仕方はおそらく
・質問の大元となった事実を言う ・(あれば)調査結果を言う ・(あれば)推論を言う ・意見を求める
であり、決して
・推論を言う ・意見を求める
ではない。
ということを質問者は意識しておいたほうがいいだろう。