量によって課題は細分化される

あるものを稀に一つだけつくる人にとって、つくるためのインターフェースが省力化されている必要性はあまりない。一般的に省力化されたインターフェースは、それを手に入れるためのコストが高く、そのコストが省力化のコストに見合っていないからだ。
たまにクッキーをつくる人が、「材料さえ用意すればクッキーをほぼ全自動でつくってくれる機械」を買うなんてことはありえない。
当然のことだが、どこまで省力化すべきかという課題に対しての、コスト的な解を導くためには、量が最大の要素になるだろう。1000をターゲットにした場合と、20をターゲットにした場合と、1をターゲットにした場合の最適解は異なる。
システム管理者をやっていると、6か月に一回程度、10から20台のPCセットアップ作業というものが発生する。この際のコスト的な解はおそらく、全て並行でセットアップを実行し、かつ手数が少ない方法を考えて実行することだ。たとえば「IPアドレスの設定」を最小の手数で行う場合、Windows7に限っては「Win」⇒I⇒P⇒「ENTER」の順番にキーを押下することが最も効率がいいだろう。Windows8の設定を最小手数で行うのであれば、「Win」+「X」というショートカットが必須になるだろう。そしてこれが「せいぜい20台位のPCをセットアップするための最速ノウハウ」の一部だ。
しかし、50台以上のセットアップを行うのであれば、自動化を考えるべきであろうし、イメージによる展開もありうる。高々1〜2台のセットアップであれば、ノウハウを覚えるコストが回収できないので、たとえば新入社員にやらせて、セットアップ作業を覚えさせるというのも、トータルとして最速になるかもしれない。
何を言いたいのかといえば「効率化を目指す場合には総量を考えろ」ということだ。1回しか行われない作業を10時間削減するより、10000回行われる作業を1分削減したほうが、約17倍効率が良い*1し、20回行われる作業は、同時並行で流れ作業としてやるのが一番効率がいい。そして、仕組みとしての効率を適用できない場合には「個別の作業が最短時間でおわる」方法を考えて実行するか、実行者のスキルアップのためと割り切って、そのようなスキルアップが必要な社員にやらせるか。そんなことを考えたほうがいいんじゃないかと思ったりした。ちなみに同じ作業を20回やった場合、よほどのぼんくらでない限り、もっと効率がいい方法について考え始めるし、20回くらいまでなら、成長もする。

*1:暗算なので適当