新しい互換技術はセンシティブな場合がある

15年くらい前の話。電話線を使った通信を行っている古いサーバをリプレースし、新しいサーバに入れ替えようという話になった。
古いサーバでは標準パッケージアプリケーションに少し手を加えていたので、そのアプリケーションを移植し、サーバごと納品したところ事件は起こった。電話線を使った通信がうまくいかないのだ。テストでは問題なく行えていた、電話線通信が、客先では正しく動作しない。原因は全く分からなかったので、とりあえず「原因を調査するためのログを出力」するようにアプリケーションを修正することになった。
サーバを持ち帰り、アプリケーションを修正したものに入れ替えて、再納品。セットアップし、再度実行したところ、何の問題もなく動作するではないか。前回と今回の差はログの有無だけのはずなのに・・・と思っていたが、原因判明。なんと「電話線(モジュラーケーブル)」を今回は交換したのでうまくいったのであった。つまりこういうことだ。

  • 古いケーブルと古いサーバ⇒OK
  • 古いケーブルと新しいサーバ⇒NG
  • 新しいケーブルと新しいサーバ⇒OK

要は、古いケーブルは経年劣化していたが、その経年劣化によるエラーを古いサーバ(が使用している通信カードとライブラリ)はOKとみなし、新しいサーバ(が使用している通信カードとライブラリ)はNGとみなした。

5年くらい前の話。802.11bを使用している古い端末をリプレースし、802.11gに入れ替えた。とたんに通信エラーが続出し、クレームとなった。これは隠れた802.11b/g端末が前回設置から今回のリプレースの間に増えたのが原因だった。要は、古い端末と干渉しない隠れ無線端末が増えていたところで、新無線の端末が表れて、隠れ無線と干渉してしまったということだろう。

新しい互換技術はセンシティブな場合がある。なぜセンシティブなのか。これは隠れた環境の悪化が発生していることと、その環境悪化を吸収するような設計が新しい技術には入っていないことが原因であろう。

だから、新しい互換技術を導入するときは、隠れた環境の悪化を見出さなければならない。無線の場合は再度のサーベイだろうし、有線の場合は物理機器のリプレースの検討だ。特にケーブルのように「保守対象でない部材」は重要だ。