プロセスの記録

システムに障害があった場合、それを調査するわけだが、この調査における現象と原因は保守屋にとってあまり重要で無い。保守屋にとってもっとも重要なのは、現象から原因にいたるプロセスである。
通常、調査というものは与えられた条件から推論を立てて、そのうちもっとも発生しやすい理由から発生しにくい理由に向かって行っていく。
ここで重要なのは、推論と、推論が発生した理由と、推論により行ったことと、推論の結果だ。たとえ誤った推論であっても、その推論が発生した理由こそがノウハウになっていく。
ところが、現象と結果しか記録しないやつがいる。システムにおいて、同じ現象であっても全く異なる原因であることは非常に多い。プロセスが記録されていれば、かつて誰かが推論したことがわかり、その推論の中に答えがあるかも知れない。なかったとしても推論は閲覧した人のノウハウになる。
逆に現象と結果だけ記載されている場合は、その答えが例え正しかったとしても、現象の存在を認識する程度の効果しかない。それでは、折角のノウハウの伝達のチャンスが無駄になるだろう。