Windowsは長いこと、まともなシェルを標準搭載していないOSであった。コマンドプロンプトという貧弱なシェル上で、バッチというこれも貧弱なシェルスクリプトを実行するという、なかなかの苦行を必要とするOSであったが、Windows98とかWindows2000の頃に、すこしまともなシェルスクリプト動作環境が誕生する。それがWSHで、WSH上で動作する言語が「jscript」と「vbscript」だった*1。
言語仕様の良しあしはともかくとして、vbscriptはバッチなんかよりははるかにマシで、ファイルやDBをまともに扱うことができるありがたいスクリプト言語であった。特別な処理系がインストールされていない環境に、自動実行を入れることができるのだ。もっとも、シェルと統合されていないという大きな欠点や、まともなデバッグ環境を構築できないという欠点や、まともな開発環境が提供されていないという欠点や、まともなドキュメントが提供されていないという欠点はあったけれど*2。
とはいっても、Powershellの登場とともに扱いがぞんざいになったことや、基本的にSJISのテキストを扱うように作られていること*3、Windowsの標準テキストフォーマットがUTF-8になりつつあること。UTF-8に対応するような機能向上が図られていないこと*4などから、vbscriptが終了に向かっているのは誰の目にも明白な事実であって、いつ発表されるのか待ち状態であった。
vbscriptの代替としては、「Windows標準搭載」という面からPowershellスクリプト一択だと思うけれど、この歳になってからPowershellスクリプトを学ぶのは正直しんどいなと思っていた。しかしAI技術の進化によって、Powershellスクリプトの記載方法はかなり簡単に調べられるようになった。正直かなりクセが強い言語だけれど、移植は難しくなさそうだ。
逆に言えば、AIの進化によるスクリプトの自動生成が無ければ、vbscriptの終了は、生産性をかなり落としていたんじゃないだろうか。
ということでちょっと早いけれど、vbscriptさん今までありがとう。君のおかげで何万時間の工数が浮いたよ*5。