経験則は早めにメカニズムにおとしこむ

まあ、大体の人は経験則をもっている。経験則って言うのは、比較的発生頻度の高い課題について、その課題をキャンセルするための事例だとおもっている。
経験則が非常に有効なのは、課題のキャンセルが圧倒的な速度で行えるからだ。たとえば、「ドメインに参加できないPCが報告されたら、まずDNS設定を疑え」というのは、システム管理者が習得しがちな経験則だが、これは非常に有効な経験則で、知っているかどうかによって、対応速度が数倍変わってくる。
この経験則がなぜ有効なのか。それはドメイン参加の条件の中で、最も直観的でない条件なので、設定実施者の盲点になりやすいからだ。設定実施者は、ドメインに参加できないという事象に遭遇した場合、「コンピューター名」、「ドメイン名」、「アカウント」の確認は自発的に行うだろう。これらは直観的な条件なので、報告を受けた時点ですでに実施されていると見た方が良い。
問題は、経験則にマッチしない場合だ。DNS設定も合っている場合、ドメイン参加のメカニズムを理解していないと、太刀打ちできなくなる。もしも、メカニズムを理解していれば、レアケースである

  • lmhostsに誤ったドメイン情報が記載されている。
  • ドメイン側でそのコンピュータ名が許可されていない
  • 同一コンピュータ名が存在する
  • DNSサーバがダウンしている

のような調査も行えたりする。

経験則はメカニズムに落とし込むまでは、単なるFAQであって、FAQであればFAQ集などで置換が効く。しかし、メカニズムまで理解した経験則であれば、何物かによる置換はそうそうされませんよというお話であった。