のだめカンタービレ16巻読了。

面白かった。

二ノ宮知子はすごい。そのすごさは、取材力による。
とにかく描写が正確なのだ。想像だがクラシック業界の人々も「あるある」とかいって違和感なく読んでいるのではないか。

業界ものをその業界の人に違和感なく読ませるということは、どれほど大変なことだろうか。

技術屋としては天才ファミリーカンパニーにおけるコンピュータ系の描写に恐れ入る。「ハッカーとクラッカーを混同しない」だけでもポイントが高いのだが、コンピュータの天才として書かれている人物が、業務システムのローカライズ(本社が米)にあたって、「業務アプリはよくわからない」と述べるところや、ネット書店の隆盛を予想しているところなんぞが、只者でない。

ハッカーは犯罪者でなくスキルが高い人への敬称(に近い)ということ、コンピュータの天才といえど行き先がわからない状態でものは作れないということ(「恋におちたら〜僕の成功の秘密〜」の描写はひどかった)、ネット書店を開業しようといった時、社長に渡した本の的確さなど、押さえるべきところをきちんと押さえている。

とにかくすごい漫画家だ。願わくば「のだめカンタービレ」が平和に完結しますように。