ハードウェアの冗長性っていう概念があって、この概念は「ハードウェアを構成する部品が一部壊れたとしても、動作しつづける」というものだ。
一般的にシステムは冗長性のあるハードを使用するものだ。しかし、冗長性を求めれば初期投資が増加するため、大体の場合、投資金額とシステム停止時間のバランスをとって、このハードは冗長に、この部分は復旧に時間かかってもいいから冗長性は不要といったように選別が行われるものだ。この冗長性において、最も見落としがちであるのが「縮退から冗長への復旧」である。
縮退っていうのは冗長性のあるハードから冗長性が失われることを意味する。例えばサーバのHDDだ。サーバにおいてHDDの冗長性なしなんて構成はおよそ考えづらく、RAID1*1やRAID5*2、RAID6*3あたりが使用される。RAID1でHDDが1台壊れると、「もうそれ以上HDD壊れることができない状態」になる。この「もうxxが壊れられない状態」を縮退と呼ぶ。
問題はRAIDの縮退から冗長に戻す際の「パフォーマンスの劣化」と「時間」だ。RAID1であれば「のこったHDDの中身を交換したHDDに書き戻す」だけなので、パフォーマンスの劣化はそれほどないが、HDDへの書き戻しは非常に時間がかかる。そしてこの時間はHDDの破損に無防備な状態だ。RAID5、RAID6の場合は結構大変で、冗長データを計算してHDDに書き込むため「パフォーマンスの劣化」と「時間」両方に悩まされる。特に最悪なのが「OS機能としてのRAID5」で、「パフォーマンスの劣化」冗長への復旧中はまともな速度でデータを書き込めなくなってしまうし、その時間が長く継続する。
あまり知られていないけれど、システムのパフォーマンステストは「縮退から冗長への復旧中」に行うべきなのだ。またOSの機能としてのRAID5は全くお勧めしない。特にWindowsの機能としてのRAID5なんかは最悪だ。
結局何が言いたいのかというと「安価なWindows NASはOS機能のRAID使っているからRAID1ならともかくRAID5にするとHDD交換後パフォーマンス超劣化するから、常設カメラ動画の保存先にすると後悔しまっせ」ということです。