システムに必要なのは王大人

魁!男塾 というバトル漫画に見えるギャグマンガがあって、非常に好きだったりした。
この漫画の登場人物に王大人という名前の人物がいて、まあなんというか「死亡確認」の人だ。男塾の登場人物は頻繁に死んだり生き返ったりするのだが、明確な死亡判定は王大人が実施する。王大人が「死亡確認」といえばその人物は死んだとみなされる。
ところが、大体の「死亡確認」された人物はその後復活する。実は生きていたとか、王大人が蘇生させたとかあるわけだが、まあ王大人の判定は誤っていない。死んでいようが生きていようが「死亡確認」された時点でその人物は物語から一旦退場するのだから。


王大人が「死亡確認」と言ってくれなければ、戦闘不能な人物は物語から退場できない、退場できなければ物語は進まない。「死亡確認」とは死亡を確認したのではなく、物語からの退場勧告なのだ。


2020/10/1に東証で起こったシステム障害(全てのビジネスパーソンが、東証の“完璧すぎる記者会見”を見るべき理由:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン)は、HWが故障したから、正常なHWがそのHWの代わりをすべきなのに、故障していることをうまく認識しないことから発生した。これはシステム屋あるあるで、故障を故障と判断するのは非常に難しい。なぜならHWが「完全に故障する」ことは少なく、大体の場合は「中途半端な故障」が発生しているから。そして「中途半端な故障」は発生させることが難しいので、テストができないのだ。

故障は0と1ではなくグラデーションだが、線引きをどこで行うのか、だれが行うのか、どうやって行うのかが重要だ。故障したHWをシステムから確実に排除するのは難しい。それこそ王大人のように適切な排除をジャッジしてくれる人物はまだ登場していない。