大どんでん返しをもう一度

大どんでん返しの物語をもう一度記憶をなくした状態で体験することができればそれはすばらしいことだ。フィクションの世界ではいくつか例があるようだ。アフター0というマンガの「〇〇〇〇〇〇〇〇に〇〇を」が該当すると思う。

現実社会において、大どんでん返しの物語をもう一度体験することは不可能だけれど、大どんでん返しの物語を味わっている人の様子をうかがうことで、それに近い体験ができる。もちろん「大どんでん返しの物語」の実施者は大どんでん返しを知っていてはいけない。具体的には「大どんでん返しを含んだゲーム」の実況動画を見ることが、最も安易に上記の体験を可能とさせる。

さて、個人的に大どんでん返しを食らったゲームで最もインパクトが大きかったのは「ヘラクレスの栄光3」と「Ever17」だ。どちらもゲームの出来としては今一歩だと思う。「ヘラクレスの栄光3」は戦闘が非常にめんどくさいRPGであったし、「Ever17」はとにかく冗長だ。ただし、そのシナリオの大どんでん返しっぷりは半端なく、素晴らしいの一言に尽きる。

ヘラクレスの栄光3の実況動画は「プレイヤーがあることに気づく」ことを見るのが非常に面白い。後半に怒涛のヒント集がちりばめられているのだが、その怒涛のヒント集のどこで気づくのかという点が特に面白い。昔ニコニコ動画で「一週間」というハンドルネームの人が、怒涛のヒント集の2つ目で気づいていたが、これはすばらしかった(動画はすでに取り下げられており見られない)。とにかく、初見の実況者は絶句するか、混乱をひたすら言葉にする。

大どんでん返しを体験するだけであれば、ショートショートや、叙述トリックのミステリーにいくらでも傑作があるが、これらの体験は一度きりのもので、せいぜい知り合いに勧めて感想を聞くことしかできない。しかしゲーム実況には「大どんでん返しの物語の反応を見る」という娯楽効果がある。

大どんでん返しのゲームを知っていたら実況動画を探してみるといいかもしれないよという話でした。