いわゆる一つのBIOSパスワード問題

BIOSパスワードという今更な技術があって、これは主に2種類の役割を担っている。

1つはBIOS(またはUEFI)の設定変更を特定の人物もしくは組織に限定する役割だ。BIOS設定なんて下手にいじられたら、起動しないなんて当たり前で、トラブルのもとになるのでこの用途で設定するのはわからなくはない。まあ、BIOSいじろうなんて奴は、BIOS設定の初期化なんて簡単にやってしまうだろうから、あくまで初心者や非技術者に余計なことをさせないための機能だろう。

もう1つはPCの起動を特定の人物もしくは組織に限定する役割だ。パスワード入力までOSに制御を渡さない役割。これがさっぱりわからないのだ。PCからデータを盗み出すなら、BIOSを通さず、HDDにダイレクトアクセスすればよいのだし、PCの操作権はOSの認証機能に任せればいいだろう。強いて言うのであれば、HDDへのアクセスが困難でかつBIOS設定のクリアが困難なPCやサーバであれば意味があるかもしれない。

いずれにせよセキュリティとしてはほとんど意味をなしていないBIOSパスワードであるが、いまだに多くの企業でセキュリティ対策として使用されていたりする。ここで、非常に困るのが「BIOSパスワードのセットアップはどうやっても自動化できない」ということだ。

OSが起動していないので、自動化しようがない。企業で大量にPCをセットアップするのは、かなりの部分で自動化可能なのだけれども、BIOSパスワードだけはどうにもならないのだ。

バーコードスキャナという機器がある。読んで字のごとし、バーコードを読み取ってコンピュータに読み取った値を渡してくれる機器だ。大抵のバーコードスキャナには、キーボード入力モードがある。読み取った値を「キーボード入力」に置き換えてくれるモードだ。

たとえば、1234567890123というバーコードを読み取ったバーコードスキャナは、コンピュータに1234567890123というキーボード入力を与えてくれる。そしてバーコードスキャナは一般的にUSB接続なので、USBによるキーボード入力を受け付けるコンピュータは、バーコードスキャナによるバーコードスキャンで、キーボード入力を代行させることができる。

CODE128というバーコードがある。英数字が扱えるバーコードなので、BIOSパスワードに使用可能な文字は大体網羅できるはずである。
BIOSパスワード設定は「バーコードスキャナ」で「CODE128化したBIOSパスワード」を読み取ることで簡易化することができるかもしれないという誰が得するかさっぱりわからないお話でした。