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数年前から家庭用の安価なNAS装置が増え始めたが、NAS装置の使いどころを間違っているケースが多々見られる。たとえば「ファイルサーバとして主要なファイルをNASの中だけに入れておく」なんていうのが間違った使い方の代表例だ。
安価なNASの使いどころ
当然のことながらNAS装置にはメリットとデメリットが存在し、デメリットを承知した上で使う必要がある。たとえばNASでRAID5を構築していたとして、RAID5が耐えられる障害は基本的にHDD1本の障害のみで*1、HDD2本の同時故障については全く無力だ。またHDD以外の故障が起こった場合に、RAID5/RAID6/RAID10のデータを読み出すことは非常に困難だ。RAID1だったら読み取れるだろうが、だとしても安価なNASはファイルシステムに何を使用しているのかわからないし、そのファイルシステムがわかったとしても、読み取るスキルを持つような知り合いがいるとも限らないし、いたとしてもただではやってくれないだろう。
原則として安価なNASには「絶対に消えてはいけないデータ」を単独保存してはいけない*2。逆に言えば「消えても問題ないファイルを入れておく」のが安価なNASの使い道だ。
消えても問題ないファイルとは何か。大まかに言って以下のファイルが該当するものと考えられる。
・タイムシフト目的の録画データ
・バックアップファイル
・DLNAサーバ用の映像・音楽ファイル
・その他複数機器で共有したいデータ
タイムシフト目的の録画データ
REGZAは機種によってはNASに対しての録画を行える。NASに行うメリットは長時間録画を行えるところと、テレビと録画装置の位置を物理的に離せるところだ。LANケーブルさえあればテレビのそばにHDDがある必要が無い。ということはHDDの動作音がたとえうるさくとも、静かな環境用で視聴できる。タイムシフトに限定したのはデータの損失が致命的にならないからだ。録画データを保管したい場合は、BDなどのメディアに録画できる装置を使うべきだろう。
バックアップファイル
PC上に存在するデータをバックアップする際、バックアップ先としてNASは非常に有効だ。この場合のバックアップとは「データのコピー」という意味でのバックアップだ。たとえバックアップ先データがNASの故障などによってなくなったとしても、バックアップ元データが残っていればNAS装置を再度購入してバックアップすればいい。自動車にスペアタイヤが1本ですむ理由と同様に、同時に両方壊れることはあまり無いだろう。
注意点は「PCが壊れてしまったら、その壊れたPCのNAS上のバックアップファイルを別のメディアにコピーしておくこと」だ。
DLNAサーバ用の映像・音楽ファイル
NAS装置にはDLNAサーバ機能がついていることが多く、PS3のDLNAクライアント機能などと組み合わせて家庭内映像・音楽配信に用いることができる。バックアップと組み合わせれば一石二鳥だ。
まあ、ほかにもデータ移行時のテンポラリとして使うような用途もあるような気がするが、USB-HDDでもできなくは無いのでそんなに大きなメリットじゃないだろう。